第37回 戦国時代を迎えた中国の医薬品業界

2012/08/1107:00

 中国の医薬品業界は今、戦国時代を迎えている。中国の医薬品流通にはかねてより、非効率、管理が行き届かない、高コスト構造などの問題が指摘されていた。具体的に言うと、メーカーから病院、薬局などの末端ユーザーまで卸業者、仲卸業者が4社ほど介在しているのが普通で、しかもこうした中間業者の数がものすごく多いのだ。

 それぞれの中間業者がマージンを乗せるので、末端での医薬品価格が高くなるのが問題視されている。しかも各中間業者のマージンは薄いので、それぞれの業者の利益率は悪いという。要するに患者は薬が高いといい、業者は儲からないと言っているのだ。

 さらに中間業者の乱立で、この薬はこの業者、別の薬は別の卸というように仕入先が異なり、はなはだ効率が悪いのだ。また政府の立場からすると、業者の数が多すぎると監督の目が行き届かず、政府の規制を守らない業者を捕捉することも困難になる。

 日本やアメリカでは医薬品流通はほぼ寡占化されている。寡占の弊害とされる業者による価格のコントロールは、こと医薬品に関しては政府のコントロールがあるため、少なくとも日本では問題になっていないようだ。

 そこで中国政府は、医薬品流通を日本やアメリカ式に編成しようとしている。つまりは寡占化である。去年の段階で正式に発表された計画によると、売り上げ額1000億元規模の「医薬商業集団」を1社から3社創設するというのだ。もちろんゼロから作り出すのではなく、既存の企業の統廃合が行われるのである。

 この1社から3社の中に入り、中国の巨大な医薬品市場を席巻するための戦いが今行われているのである。この戦いの部外者からは、統廃合後、つまり「戦の後」どうなるかが議論されている。流通が簡素化され、医薬品の価格が下がるという説もあれば、寡占により携帯電話の通信料金のように価格が高止まるのではないかという説もある。何れにしても巨大な「医薬商業集団」が出現すれば、薬を仕入れる側からすれば便利にはなるであろう。

【Dr. Murakami(どくたー・むらかみ)】
日本人ドクター。養生医学研究協会会長。TCMediCo代表。東京大学文学部、上海中医薬大学中医学科卒業。同大学付属曙光病院レジデント等を経て、現在は上海のセントミカエル病院で診療を行っている。中国に9年在住。講演、執筆などを通じて中国医学の紹介活動にも取り組んでいる。

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2016/07/29 19:05更新

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